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灰色の記憶

笑顔

二度寝を経て寝巻きから私服に着替える。今日は生憎の雨だ。最寄り駅まで、車で送ってもらった。

昨夜、Twitterで一通のDM(ダイレクトメッセージ;LINEでいうところの個人チャット)があった。内容を見ると、一緒にフォロワーの見舞いへ行かないかという誘いだった。

私を含めて3人とも、それぞれ面識があり、特に予定もなく断る理由もなかった私は(面会自体、人生初で最初誘いを受けたときはしどろもどろになったが)快諾し、名の知らない駅での待ち合わせを約束した。

電車に乗る回数がめっきり減ってしまった私はスマートフォン片手に乗換案内を逐一確認しながらホームを間違えないように移動した。乗換回数は計3回。遅延も食らったが無事到着することができ、駅構内の売店で見舞いのために適当に菓子類を購入した。

誘いをいただいたフォロワーの方と合流し、お互い昼食を取っていないということで駅の近くの牛丼屋に入って牛丼をご馳走になりました(ありがとうございます)。

食べ終わったところで店を出て、病院へと向かった。雨は弱まっていたので傘を閉じた。マップで現在地と目的地を確認しながら病院へと向かった。

病院に到着し、面会するための用紙のようなものを書いてもらい、警備員の案内で中に入れてもらった。手洗いとうがいを促され、御手洗で済ませた(イソジン、久々に使ったけどこんな後味したか)。部屋に入ると、思いのほかコンパクトな広さだった。相部屋らしい。入室時その入院しているフォロワーは不在で、数分経って戻ってきた。

お菓子を食べながら談笑しようということで、3人とも部屋を抜け、すぐ近くにある共有スペースのような場所に腰を掛けた。駅で買ってきたものを渡した。

話をしていると、なかなか驚いたこともあったが、何より笑っている顔が見られてよかったと思った。陳腐な表現しか浮かばないが本当にこれしか出てこない。「無事でよかった」とか、「元気そうでよかった」とか、「頑張ってるみたいでよかった」とか、そういう感情より遥かに、遥かに、「笑っている顔が見られてよかった」、この想いのほうが大きかった。いや、今思えば(誇張に聞こえるかもしれないが)この感情しかない。

勿論、無理して笑っていたかもしれない。寧ろ、話を聞いているなかで最初はそう思った。ただ、話を聞いていて、「あぁ、包み隠さず言っているんだな」と思ったし、相手も対人したときは取り繕うような人となりじゃないことは個人的に何度か逢っているなかで感じていたので、私は表にはあまり出していないが(重すぎる人間だと思われるのを避けるため)その人に信を置いている。その人が私に対してどう思っているのかは、1対1のときしか訊けないことだが。

たわいもない話もした。成人しているので、退院したら飲みに行こう、またパフェを食べに行こう(私が個人的に好きなので)など。嬉しかった。とても嬉しかった。

2時間半ほど話をして、別れた。約束したことを復唱して、手を振った。

誘っていただいた人は私と若干歳が離れている。4日前に逢ったばかりで、「最近」という時間の範囲について2人で笑った。話を聞く限り、いつも無理しているように思う(個人的に)。ただひとつ言えることとして、その人と逢っていなかったら、私は今までネット上の誰とも会わなかったかもしれない。その人を信仰しているわけではなく、私にひとつの「きっかけ」を与えてくれた人だと、そう勝手に思っている。

帰路、入院している人から貰った手紙を読んだ。筆跡から、絵から、感情が浮かぶ。笑顔が見られて、よかったなぁ。

ふと、手を振り合ったときの表情を思い出す。

私も相手も、笑顔だった。