ph1los0phy

灰色の記憶

日記 1/8-1/14

1/8(金) 天気:くもり

近くから工事音が聞こえてくる。振動が部屋に伝わる。まるで、家がひとつの生き物として、冬の祁寒に肩を聳やかして打ち震えるように。何かが解体されていく様子というのは、崩壊していく様子というのは、なぜ物憂いのだろう。


1/9(土) 天気:晴れ

怖い。


1/10(日) 天気:晴れ

欲が、目標があってこその人生なら、欲も目標も何もない人間はどうしたらいいのだろう。

意識したくないのに、死を意識してしまう日々がつづいている。きまって動悸と目眩がする。

外に出た。山尾悠子の「飛ぶ孔雀」を買った。


1/11(月) 天気:くもり

アナイス・ニン「小鳥たち」読了。短篇集。

江國香織「夕闇の川のざくろ」読了。童話。10分足らずで読めた。何度でも読みたい。

長野まゆみ「玩具草子」読了。随筆集。言葉選びや文章が美しくて心地いい。長野まゆみさんもたくさん読みたいな、今年は。

ヘッドフォンを新調した。白と黒で迷い、白を購入。

どこにいても自分を異物のように感じる。不安と疎外感を常に感じる。他者の眼差しが、邪魔だと、いなくなれと、そう訴えている気がする。責められている気がする。自分が正しいかどうかということはわからず、自分は正しくないかもしれないということしかわからない。


1/12(火) 天気:くもり

通話をした。通話だけど、久々に人と話せてよかった。


1/13(水) 天気:晴れ

どうして生きているんだろう。そんな途方もない疑問で頭の中がいっぱいになる。理由なんか別に、なくたっていいじゃないかとその都度思う。なんとなくそうしてるだけ。なんとなく生きて、なんとなく死ぬ。それだけだよ。

最期に思いだす記憶は、なんなんだろうな。


1/14(木) 天気:晴れ

夢を見ていた。夢の中で私は眠っていて、また別の夢を見ていた。あいにく、その夢の内容までは思いだせない。現実に戻るためには目をさまさなければならない、二回。一回目に目をさました時、からだが動かなかった。正確には、思うように動かすことができなかった。起き上がろうとしてもたちまち膝からくずおれてしまって、何度試みても同じだった。這いずるようなかたちで移動することしかできないのだろうか。不意に視界が狭まったような気がした。カフカの変身を思いだした。けれど、からだはまだ人間のかたちを保っていた。何故か首が右に曲がっていて、視点が定まらない。からだは自由がきかないばかりか、鉛のように重く、畳に沈んでいくようだった。その部屋に、だれも来ることはなかった。自分でどうにかするしかなかったが、突然の事態に冷静さを失い、ただ狼狽していた。結局、どうにもならないことを悟り、諦め、そこから何度か眠りを貪った。間欠的、断続的な眠りだった。夢の中の私は、精神の疲れはおろか、からだの疲れを取ることもできなかった。地獄だった。発狂しかけた時、二回目の覚醒がきた。からだは酷く汗ばんでいて、息が短かった。首は曲がってはいなかった。静寂がうるさかった。気のせいか、からだがまだ自由に動かないような気がした。