3/1(水)
通所80日目。
3/1(水)
ガルシア・マルケスのことを考えていた。
3/2(木)
疲れている。気づいたら倒れている
3/3(金)
通所81日目。
3/3(金)
歓喜する人間は、氾濫する時間の水源に体ごと飛び込んでいく。
(パスカル・キニャール『いにしえの光』小川美登里訳 水声社 p63)
わずかとはいえ死を思わせるところのないものは、なんであれ例外なく俗悪である。
(E.M.シオラン『四つ裂きの刑』金井裕訳 法政大学出版局 p144)
私は自分の芸術を功利的な目的のために折り曲げるよりは、もはや何も書かないことを望んでいる。功利的な目的は今日最も重要なものにちがいないと信じていることが、同時に私に沈黙を強いている。
(『ジッドの日記IV 1931〜1939』 新庄嘉章訳 日本図書センター p149)
3/3(金)
を買った。
3/4(土)
・ユーディット・シャランスキー『失われたいくつかの物の目録』(細井直子訳 河出書房新社 2020.3)
・アンドレ・マルロー『黒耀石の頭 ピカソ・仮面・変貌』(岩崎力訳 みすず書房 1990.5)
・ピエール・マッコルラン『写真幻想』(昼間賢訳 平凡社 2015.7)
・高橋義隆『言葉の果ての写真家たち 一九六〇−九〇年代の写真表現』(青弓社 2017.3)
を借りた。
自転車のブレーキワイヤーが切れた。ついこのあいだ、前輪のパンクを修理したばかりなのに、また故障か。
生命の有無で変わる呼称。自転車は修理、動物は治療。
3/5(日)
オリヴィア・ハワード・ダンバー。久々に青空文庫をひらいて目についたこの名前が気になり検索するも、日本語による紹介サイトは見当たらず。
英語によるwikiがあった。
Olivia Howard Dunbar (1873–1953) was an American short story writer, journalist and biographer, best known today for her ghost fiction.
オリヴィア・ハワード・ダンバーはアメリカの短篇作家、ジャーナリスト、伝記作家であり、今日では幽霊フィクションで最もよく知られている。
青空文庫で確認できる作品は、
・『感覚の殻(The Shell of Sense)』(1908)
・『長い部屋(The Long Chamber)』(1914)
の2つのみ。いずれも短篇。
wikiによると『シカゴの家(A House In Chicago)』(1947)という小説も残しているらしい。翻訳がない。
人が一つの事柄を苛酷なまでに明瞭に理解し、初めて自分の頭がそれで一杯になった時、たやすく耐えられるものだなどとは思わないで欲しいし、内気な幻も一たび解き放たれれば古い衝立や霧を振り捨ててしまえるものだとも思わないで欲しい。
(オリヴィア・ハワード・ダンバー『感覚の殻』The Creative Cat訳)
『感覚の殻』を読んだ。wikiにある"幽霊フィクション"というのはこういうことか、と膝を打った。なぜもっと早くに読んでいなかった、と後悔した。この作家は私の魂を、魂の最奥を見透かし、つぶさに記述している。
あの人はあまりにも強く愛したために生きる必要がなくなってしまったのです。
(オリヴィア・ハワード・ダンバー『長い部屋』The Creative Cat訳)
『長い部屋』も読んだ。これも"幽霊"が絡んでいる。
ダンバーの幽霊(ゴースト)フィクション。読むまでは幻想的な舞台と雰囲気だろうかと疑ったがそんなことは殆どなく、彼女が紡ぎ出す文章は寧ろ、舌を巻くほど現実的であり、内省的だった。ふとした瞬間に、物語世界に"幽霊"が潜んでいることを失念してしまうほどに。
彼女の作品を訳したThe Creative Cat氏に敬意を表する。特に『感覚の殻』は逸品で、折に触れて何度も読み返すことになりそうです。
3/6(月)
雨の匂いがする。雨の匂いが好きだ。
病院に来た。気が立っている老人がいる。お前を見ていると生きることが嫌になってくる。
「哀れな身寄りもない年寄りをなぐったりすると、ひどい罰が当たるぞ」と老人はうめいた。
おまえみたいなのを見ていると、こっちまで生きてるのがイヤになる、と少年は心の中で言い返した。死んじまえ、さっさと。人間は多すぎるんだ。
(日野啓三『天窓のあるガレージ』)
3/7(火)
通所82日目。死にかけの自転車。
3/7(火)
忘れたいという欲求を、忘れられたいという欲求が上回るとき、理想の優しさを手にすることができる気がした。