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灰色の記憶

日記 8/27-9/2

8/27(金)

願いというのは、叶ったと思っても、今いる現実のはるか彼方にあるのです。

(アデライダ・ガルシア=モラレス『エル・スール』)



8/28(土)

イタリア文学を調べていた。



8/29(日)

ダンテ『新生』(河出文庫)、中村文則『R帝国』(中公文庫)、山尾悠子『歪み真珠』(ちくま文庫)を買った。



8/30(月)

「こんな、つまらないものだったのか。あれほど望んだ、幸福というやつは」



8/31(火)

話せば話すほど隔たりが広がるように思う。



9/1(水) その1

アルベルト・ベヴィラックァ『エロス』読了。



9/2(水) その2

髪を染めた。



9/2(木)

ストルガツキー兄弟『ストーカー』(早川書房)を買った。















雨が降り続いている。肩を聳やかして歩いている。

日記 8/20-8/26

8/20(金) その1

最愛の、という言葉に対する嫌悪感。



8/20(金) その2

自分の幸福の為に、他人を巻き込むなよ。



8/20(金) その3

自分の未来を、幸福を犠牲にしてまで救いたい人がいる。そんな人が何人いるだろう?



8/20(金) その4

好きだからこそ知りたいと思わない。



8/20(金) その5

好きだったものを嫌いになる瞬間と、嫌いだったものを好きになる瞬間、どちらが人生において本質的だろう?


私は前者だと思う。



8/21(土) その1

精神の支えを必要としていない人間にとっては、信用も信頼も意味を成さない。



8/21(土) その2

一緒に死のうも、一緒に生きようも、お前より先に死んでやるも、お前より長く生きてやるも、全部、愛でした。



8/22(日) その1

好意は最高の所有の形、所有は最低の好意の形なんだ。

(ジョゼ・サラマーゴ『見知らぬ島への扉』)



8/22(日) その2
​──経験してもいないことが死ぬほどなつかしくなるなんて。

(アレッサンドロ・バリッコ『絹』)



8/22(日) その3

ターハル・ベン=ジェッルーン『火によって』を読んだ。



8/23(月)

誰もがきみを貶しながらも見とれている

(きのこ帝国/ パラノイドパレード)



8/24(火)

凪良ゆう『流浪の月』(東京創元社)を買った。



8/25(水) その1

なにをもってしても過去を消すことはかないません。そこには改悛があり、償いがあり、赦しがあります。ただそれだけです。けれども、それだけでじゅうぶんなのです。

(テッド・チャン『商人と錬金術師の門』)



8/25(水) その2

苦痛を味わうのなら、その果てまで行かねばならない。苦痛をもはや信じることができなくなる瞬間まで。

(エミール・シオラン『生誕の災厄』)



8/26(木) その1

聖書、買うか。



8/26(木) その2

「ひとりの男が山道を歩いているとする。男はつまずき、断崖から墜落する。この事故が起きるために結びついた決定要因は、相当な数にのぼるにちがいない。にもかかわらず、墜落の原因がなにかと問われれば、誰もがこう応えるだろう。踏みはずしだ、と。墜落の直前に起きた、踏みはずしというこの出来事が、事故を引き起こす要因として、それ以外のものより必要の度が高かったから、というのではいささかもない。同程度に欠かせない要因は、ほかにいくらもあった。だが、とりわけこの踏みはずしは、著しい特徴を数多く備えている点で際立っている。踏みはずしこそ、いちばん最後に生起した出来事なのであり、世界全体の秩序のうち、最も安定度が低く、最も例外的なものだったからである」

(ミシェル・リオ『踏みはずし』)



8/26(木) その3

現実的なことが言えなくなっていく。夢見ることも億劫になっていく。虚しさが付き纏う。


失っていく過程を思っている。

日記 8/13-8/19

8/13(金)

ブッツァーティ『神を見た犬』(光文社古典新訳文庫)を買った。



8/14(土)

死にたい



8/15(日)

好きだよ



8/16(月)

風に誘はれた木の葉が落ちて来る
夕暮を歩む人や子供が木の葉を踏んで行く
靴底の釘が木の葉を踏み破る、彼等の足の下で
彼等自ら知らずにゐるのに。

微風にさへも散り、事事に傷く
これ等の木の葉に若も感覚があつたとしたら、
木の葉はさびしい荘厳な酩酊を感じるであらう。
何故と云ふに、人が自ら親木から離れ、
さうして秋が墓の方へ撒きちらす、
孤児、弱い者、孤独者であると感じ、
自らが自らの為の死布であると知り、
今日より後、自分は人間に対しても、獣類に対しても虚無であり、
何物もこの悩みの世に自分を繋ぐものはなく、
自分は今はじめて、自由な風に従つてとびまはる外、
何物にも服従しない落葉であり、
詩人であると感ずることは
悲痛の中の歓喜であるから。

それは自由に顫動きながら飛び廻る風の美しい酩酊だ。

(ルイ・マンダン『抒情発生』)



8/17(火) その1

人は何かを期待しなくとも十分、生きていくことができるのだ。

(ミシェル・ウエルベックランサローテ島』)



8/17(火) その2

もはやその頃、私のもつてゐたのは、神への愛ばかり、そしてもう一つのは、私はそれを喪してゐた。私は腰を下ろしてゐた、夜に向きあつて。夜は明るかつた、その中で、柏香樹が、黑い天鵞絨のやうに見えるほど。これよりももつと美しい夜があらうとは、思はれない。これに似た夜の思ひ出さへ、私はもつてゐない。公園の向ふにうち續く丘を私は眺めてゐた。それから眼をあげた。そして息づく星の、星屑を手にいつぱい、掬つてみたいと思つたけれど、けれどもそれを、どうしてこの毀れてしまつた心の中に、しまつておかう?

(フランシス・ジャム『公園の夜』)



8/17(火) その3

幸せを願うことすら暴力。幸せになることすら暴力。幸せになりたがることすら暴力。


暴力。



8/17(火) その4

黙れない性分なんだね。


まあ死んだら永遠に黙ってるわけだから、いいか。



8/17(火) その5

完全にどんな夾雑物もない注意が、祈りである。

(シモーヌ・ヴェイユ重力と恩寵』)



8/18(水) その1

雪がふる、雪がふる地の上に、
影がふる、影がふる地の上に、

落葉な何所へ行つたのか?
落葉さへ死んでしまつたのだ、
さうして今雪と影がふる。

錆びた鉄槌で悪戯な天使たちが
戸を叩いてゐるやうに思はれる、
少しづつ私たちを殺す天使たち
さうして地平線の上にはひくく垂れたさびしい雲・・・・・・

暗い墓のやうに人家は皆とざされてゐる
さうしてそこらぢゆうに雪と影がふる。

(フェルディナン・エロルド『雪』)



8/18(水) その2

キーツ詩集』(岩波文庫)、『ウンガレッティ全詩集』(岩波文庫)を買った。



8/19(木) その1

パスカルキニャール『ローマのテラス』読了。



8/19(木) その2

幸せなんて言葉知ってるんだ。不幸だね。



8/19(木) その3

軽蔑しながら愛することはできる?



8/19(木) その4

来た時よりはよくなつて私は帰る、
裸で生れて来たのだがいま着物きて死んで行く。

(シヤルル・アドルフ・カンタキユゼエン『碑銘』)

日記 8/6-8/12

8/6(金)

何年ぶりか分からないが、長瀞にいった。



8/7(土)

「俺は、こんなにも素晴らしい世界に住んでいたのに」、「今の俺には、すべてを受け入れて生きることができるのに」といった後悔や嘆きが深ければ深いほど、世界はかえって、残酷なくらいに美しくなるのではないでしょうか。

(三秋縋『三日間の幸福』あとがきより抜粋)



8/8(日)

マンディアルグの小説を借りた。



8/9(月)

ニーチェ善悪の彼岸』(光文社古典新訳文庫)を買った。



8/10(火)

何も。きょうも詩を書いた。



8/11(水)

倉橋由美子『ヴァージニア』(新潮文庫)を買った。



8/12(木) その1

病院にいった。



8/12(木) その2

会おうね。絶対、ね。

日記 7/30-8/5

7/30(金)

ただ、一切は過ぎていくと、太宰も言っていたから。



7/31(土)

今月は誰にも会いませんでした。



8/1(日)

皆川博子『影を買う店』を借りた。



8/2(月) その1

夕風に撫でられながら読む原民喜が、いやに心に沁みる。



8/2(月) その2

わたしの苦しみの、なくそうとしてなくせない根底である〈わたし〉、このなくそうとしてなくせないもの。それを普遍的なものにすること。

(シモーヌ・ヴェイユ重力と恩寵』)



8/3(火) その1

あなたが生きてることを知った時、生きていてよかったと思えた。



8/3(火) その2

あなたに会えてよかった。あなたに会って、それを言えないのだけが心残りです。



8/3(火) その3

会えないのなら、忘れないように努めることしか、できません。あなたは、笑うでしょうか。私は、あなたの笑顔が好きです。


笑ってください。



8/4(水) その1

ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』(河出文庫)を買った。



8/4(水) その2

俺が言いたいのは、お前は今、ここに確かにいるってことだよ。それなら、お前は、もっと色んなことを知るべきだ。お前は知らなかったんだ。色々なことを。どれだけ素晴らしいものがあるのか、どれだけ奇麗なものが、ここにあるのか。お前は知るべきだ。命は使うもんなんだ。

(中村文則『何もかも憂鬱な夜に』)



8/5(木)

ぼくたちをよろこばすものが幻影だとしても、それでいっこうかまわないではないか。

(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』)


幸福というものが同時に不幸の源にならなくてはいけなかっただろうか。

(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』)


あのころの思い出だけがぼくをよろこばせる。あのいい現わしがたい感情を呼びもどし、再び口にしようというこの努力だけでさえ、ぼくの魂を高めてくれるが、それだけにぼくが現在取り巻かれている境遇の切なさを余計に感じさせもする。

(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』)


​──ひょっとするとぼくが現在の境遇を変えたがっているというのは、内心の不安な焦燥の現われなのじゃあるまいか、だとしたら、その焦燥感はたとい境遇が変ったってぼくにつきまとってくるだろう。

(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』)


それではさようなら。この悲惨を終らせるものは墓場以外にはありそうもない。

(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』)

日記 7/23-7/29

7/23(金)

レーヴィの詩がまた読みたい。



7/24(土)

メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』(新潮文庫)を買った。



7/25(日)

ランボー『地獄の季節』を読んでいた。



7/26(月)

ニーチェの『善悪の彼岸』探してるけど、見つからないな。


ブッツァーティの短篇集も欲しい。



7/27(火)

一つ楽しみができた。うれしい。秋まで生きます。



7/28(水)

「倫理観なんてさ、いいものみたいに言うけど、使いようによっては人間を線引きしすぎるものだから」

(島本理生『イノセント』)


「なんでも正直に話すことだけが、誠実さじゃないと思う」

(島本理生『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』)


「俺、どんなに小さいことでも、相手の意見はちゃんと尊重しなきゃいけないんだって気付いたから」

(島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』)



7/29(木) その1

「最後は正義が勝つ」だって?当たり前でしょう。正義の敵は、また別の正義なんだから。



7/29(木) その2

ジュリアン・グラック『陰欝な美青年』を借りた。『シルトの岸辺』、欲しいんだけどな…


ラディゲ『肉体の悪魔』(光文社古典新訳文庫)、アポリネール『一万一千の鞭』(河出文庫)、ジョン・ウィンダム『トリフィド時代』(創元SF文庫)を買った。『トリフィド時代』買えたから満足です。


クラーク『幼年期の終わり』、ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』も欲しい。























暑い、ね。からだ大事に、ね。

日記 7/16-7/22

7/16(金)

あなたは
幸せだったのだらうか

幸せでも 不幸せでも
なかったのだらうか

何だったのだらう この日々
あなたの"一生"にとって

答へは ない
白い天井 それだけ

(吉原幸子『天井』)



7/17(土)

暑い。


本屋を転々としていた。



7/18(日)

誰にでも優しいことは悪いことなのか?断罪されるべきことなのか?



7/19(月)

図書館に。



7/20(火)

オルダス・ハクスリーすばらしい新世界』(ハヤカワepi文庫)を買った。



7/21(水)

何度でも思い出す。会えないなら、思い出すしかないから。



7/22(木)

答えになりたい
誰かのための、答えになりたい
それだけなんだ

(mao sasagawa/ 美術品)































生きた証なんて残さないので、時々思い出してください。思い出だけが本当なので。