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灰色の記憶

日記 10/15-10/21

10/15(金)

私はひとつの花を誹謗しよう。

(立原道造『夏秋表』)


杉浦明平という名前が出てくる。岩波の立原道造詩集を編集した人物だ。



10/16(土)

雨。



10/17(日)

死にたい



10/18(月)

久々の共作。嬉しい。


詩を書いていて、よかった



10/19(火)

寒い。寒くて起きた。現実のような夢を見た気がする。雨が降り頻る中、ゴミを捨てに。寒いのは、好きです。暑さには、寒さのように突き刺すような痛みはない。


寺田寅彦だったか、涼しさは瞬間の感覚だと言っていたのは。


電線を啄いている鴉がいて、感電しないか心配でした。


うれひのみ笑みはをしへぬ遠びとよ死ねやと思ふ夕もありぬ​───山川登美子



10/20(水)

異常論文(ハヤカワ文庫JA)を買った。


自分が理解されるのをいつも拒絶した。理解されるとは、身体を売ることだ。本気で自分とはちがうものと見なされ、品位を持ち、飾り気なく人間的に知られていないほうがいい。​───フェルナンド・ペソア


そもそも人間なんて自分かってなもので、相手を正当に理解したつもりでいても、かならず、どこかの部分で小さな誤解をしているものです。

(澁澤龍彥『快楽主義の哲学』)


理解したい、理解して欲しいというのは、本当に傲慢な態度だと思う。理解?そんなものはない。



10/21(木)

煙草を喫いながら自転車を漕いでいる爺さんがいて、不快だったから舌打ちした。


図書館にいった。

ナタリー・サロート『生と死の間』
アメリー・ノートン『チューブな形而上学
マルキ・ド・サド『ジェローム神父』
川端康成眠れる美女
藤本ひとみ『変態』
・遠野遥『破局
・上田岳弘『ニムロッド』
円城塔『バナナ向きには最適の日々』
・藤原無雨『水と礫』

を借りた。


寒くなってきた。私は秋が一番好きです。

日記 10/8-10-14

10/8(金)

寂しさ、寂しさ、寂しさ、この寂しさを救ってくれるものはないか、美しい姿の唯一つでいいから、白い腕にこの身を巻いてくれるものはないか。

(田山花袋少女病』)



10/9(土)

ミシェル・フーコーフーコー文学講義​──大いなる異邦のもの』(ちくま学芸文庫)を買った。



10/10(日)

私は、燃えつくした焔の灰でしかありません
胸のうちの歌人はほろびはてました
むかしに愛したものを、いまは崇めるだけなのです
心情は、私の頭のように灰色となりました。

(ジョージ・ゴードン・バイロン『ブレシントン伯爵夫人に』)



10/11(月)

書いた詩が900に達した。



10/12(火)

ヒメーネスの詩集が欲しい。



10/13(水)

寒かった。詩を2つ書いた。



10/14(木)

ヘミングウェイ全短編3』(新潮文庫)を買った。


図書館に。ソローキンを2冊借りた。

日記 10/1-10/7

10/1(金)

カミュ『ペスト』(光文社古典新訳文庫)を買った。



10/2(土)

摘みとった花と贈られた花
そのあいだに言いあらわせぬ虚しさ

(ジュゼッペ・ウンガレッティ『永遠』)



10/3(日)

遠野遥『改良』を読んだ。



10/4(月)

「罪だけのために罪を愛する者には、動機なんか必要ないのさ」

(マルキ・ド・サド『新ジュスティーヌ』)



10/5(火)

一行詩を、2つ。



10/6(水)

せめて誰かの虚構の海で
溺れたいのです

(syrup16g/ 赤いカラス)



10/7(木)

あらゆる花のなかでも一番美しい花から、
優しい名前のなかでも一番艶なる名前をえらんだ瑰麗の島よ。
お前の島影を眺めれば
何と輝かしい時代の夥しい思い出が蘇ってくるであろう。
何と過ぎ去った幸福の夥しい場景が、
何と葬られた希望の、夥しい思いが現われてくるであろう。
もう見えない​──お前の緑の坂には現われない
乙女のいかに夥しい幻が蘇ってくるであろう。
もういない​──あわれ、あの魔のうら悲しい笛の音は
すべてのものの形を変える。お前の魅力はもう心を悦ばすことはない​──
お前の思い出はもはやない。今より私は
お前の花の彩る海岸も呪いの国と思うだろう。
ああヒヤシンス咲く島よ、ああ深紅にかすむヅァンテ島。
「黄金の島、東方の花よ」

(エドガー・アラン・ポー『ヅァンテ島の歌』)

日記 9/24-9/30

9/24(金)

ヴィクトル・ユゴーレ・ミゼラブル(一)』(新潮文庫)、ルイス・キャロル不思議の国のアリス』(角川文庫)、アンデルセン『絵のない絵本』(新潮文庫)、岩井俊二『ラストレター』(文春文庫)、壺井栄二十四の瞳』(角川文庫)、沼田まほかる『猫鳴り』(双葉文庫)、桜庭一樹推定少女』(角川文庫)、谷崎潤一郎春琴抄』(新潮文庫)、佐野徹夜『この世界にiをこめて』(メディアワークス文庫)、道尾秀介『球体の蛇』(角川書店)、赤川次郎『いもうと』(新潮社)、似鳥鶏『彼女の色に届くまで』(角川書店)を買った。



9/25(土)

ある日、わたしは気づいた。自分を取り巻く世界が、そこに生きる者たちもろとも目の前から消失しつつあることに。そして、わたし以外の誰の目にも、それがまったく見えていないことに。

(フィリップ・フォレスト『洪水』)



9/26(日)

マーガレット・アトウッド侍女の物語』(ハヤカワ文庫epi)を買った。



9/27(月)

ひとはしばしば、そうとは知らず、地獄と隣り合わせで生きている。ところが、明らかな反証があるにもかかわらず、地獄など存在しないと勝手に確信しているのだ。

(フィリップ・フォレスト『洪水』)



9/28(火)

瞬間的な永遠なんて偽りに過ぎないの

(宮川愛李/ 欠落カレンドラ)



9/29(水)

レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』(創元推理文庫)、マゾッホ『毛皮を着たヴィーナス』(河出文庫)、J・ド・ベール『イマージュ 甘美なる映像』(河出文庫)、花房観音『花祀り』(幻冬舎文庫)、村山由佳『アダルト・エデュケーション』(幻冬舎文庫)、サン・テグジュペリ『人間の土地』(新潮文庫)を買った。



9/30(木)

金剛経に書いてあるよ。慈悲は言葉にすぎないって」
(中略)
「そんなものは糞食らえなのよ、金剛経なんて、仏陀の前ではなんの価値もないのよ」

(ダニー・ラフェリエール『ニグロと疲れないでセックスする方法』)















夏が終わったかと思えば9月も終わり、旧暦だと明日から冬かなんてつまらないことを思う。『氷』、再読しようか。

日記 9/17-9/23

9/17(金)

ポール・オースター『インヴィジブル』読了。午前2時をまわっていた。虫だか鳥だか、よくわからない鳴き声がした。溶けるように寝た。


朝早くから外へ。駅へ。アナイス・ニンの日記(ちくま文庫)を買った。アナイス・ニン、好きなんだよね。小説、読んでみて。『小鳥たち』とか、読みやすいよ。


スタニスワフ・レムソラリス(新装版)』(ハヤカワ文庫SF)を買った。よかった、買えて。


夕方から雨が降ってきたけど、蒸し暑いまま。


夜、図書館に。夜に図書館にいくのは…初めてかな。借りた半分も読めていないけど、今日が返却日だから返した。そしてまた借りた。買ったのと借りたのと、忙しいね。シルヴィア・プラス『ベル・ジャー』、これは再挑戦で借りた。あとは例によって海外小説。フォレスト『洪水』、エリクソン『エクスタシーの湖』、ユイスマンス『黒ミサ異聞』、ブリヨン『幻影の城館』。最低2冊。3冊読めれば上出来かな。


この日記も2年目。いつまで続くのやら。



9/18(土)

『君の話』、文庫化されるのか。嬉しいな。あれは本当に良いから、皆読むといいよ。



9/19(日)

ユイスマンスを読んでいる。『さかしま』ではない。



9/20(月) その1

『文語訳新約聖書』(岩波文庫)を買った。毎日少しずつ読もうと思う。



9/20(月) その2

​「苦痛のなかには悦楽があるんだ。わかってほしい、きみ、ひとは苦痛を愛するのだということを」

(エドゥアール・デュジャルダン『自己処刑者』)



9/21(火)

宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』(ハヤカワ文庫JA)を買った。


図書館に。勧められた山下紘加の小説を借りた。


宮沢賢治の命日だった。賢治に関しては語りたいことが多すぎて、何も語りたくない。



9/22(水)

もういいよ。もう終わらせよう。



9/23(木)

せめて聖書を全部読んでからにしよう。


ああ、そういえばまた本を買った。安部公房『無関係な死・時の崖』、吉行淳之介『娼婦の部屋 不意の出来事』だったか。読めんのかな、まあいいや。
































きみもなかなか、意地悪なことを言うね。

日記 9/10-9/16

9/10(金)

ありがとうございます。まだ覚えていてくれて。


そして、生きていてよかったです。



9/11(土)

またひとつ歳をとった。


久坂葉子が21で死んだから、久坂より歳上になってしまった。好きな人より長く生きると苦しいね。



9/12(日) その1

ぼくは地獄に堕ちた、救われた、また地獄に堕ちた、また救われた、もううんざりだ。

(フィリップ・ソレルス『ステュディオ』)



9/12(日) その2

岩倉文也『終わりつづけるぼくらのための』(星海社)を買った。



9/13(月)

ポール・オースターを読んでいる。


結構面白い。



9/14(火)

また図書館に。今日は借りず。



9/15(水)

つらつらと散文詩を書いている。


書く時間を増やすかな。



9/16(木)

ボルヘス、そろそろ読んでみようかな。国書刊行会から出る対話集が欲しいね。値が張るけど。















会ったこともない人の言葉を思い出す。それはその人が生きていた証拠だから。

日記 9/3-9/9

9/3(金)

借りたもの

モナリザの微笑(講談社文芸文庫)
/オルダス・ハクスレー

・ヘルタ・ミュラー短編集 澱み(三修社)

・インヴィジブル(新潮社)
/ポール・オースター

・ステュディオ(水声社)
/フィリップ・ソレルス

・シカゴ育ち(白水Uブックス)
/スチュアート・ダイベック

・花火(白水社)
/パトリック・ドゥヴィル

スターバト・マーテル(河出書房新社)
/ティツィアーノ・スカルパ



9/4(土)

虚しい



9/5(日) その1

朝、外を歩いた。涼しかった。雨上がり、土の匂い、草の匂い。蝉が鳴いていた。残蝉というんだっけか。歩きながら詩を書いた。



9/5(日) その2

言葉は、存在するものごとについての、死者の警告。

言葉は、わたしたち自身よりも大きな欲望や期待をわたしたちの中に植えつける、死者の復讐。

(ティツィアーノ・スカルパ『スターバト・マーテル』)



9/6(月) その1

祖母に会った。



9/6(月) その2

病院にいった。



9/7(火)

借りたもの

・透明性(早川書房)
/マルク・デュガン

・青い夕闇(国書刊行会)
/ジョン・マクガハン

・妄想と強迫(彩流社)
/エドゥアール・デュジャルダン



9/8(水)

愛というのは、本質的に歪んでいるものだよ。



9/9(木) その1

体中に染みついている
嘘を信じていく

(Mr.Children/ フェイク)


私の最後のほんとうの感覚は、自分の幻覚についての感覚なのだ。私のただひとつの認識は、自分が狂ったということの認識なのだ。──私は完全な意識をもちながら、狂っているのだから。

(エドゥアール・デュジャルダン『近づく狂気』)


もし過去において偽りの感覚と真実の感覚とを引きはなせないのなら、なぜ私は狂人のままでいないのか?あるいは、狂人であったことをなぜ記憶しているのか?

(エドゥアール・デュジャルダン『過ぎ去った狂気』)



9/9(木) その2

その人を信じることと、その人の言葉を信じることとで、わけています。つまり、誰が言ったか、という情報を無視しています。だから、その人を嫌いながらその人の言葉を信じることは、可能であるというわけです。



9/9(木) その3

断続的な愛、錯覚。早く一色にしてくれないか。
















白い花がみたいな。月下美人、なんかね。